Kunio Kishida スライド・エンジェル・ライナーノーツ


 映画『黄金のメロディ~マッスル・ショールズ』をご覧になったという方は結構多いのではないだろうか。僕などは人種差別云々の辺りから涙が止まらなくなり、最後まで泣きながら見ていたものだった。映画の最後に流れたのはレーナード・スキナードの「スウィート・ホーム・アラバマ」だった。勿論、彼らがマッスル・ショールズでレコーディングしたことに思いを馳せているのだが、それだけではない。映画の中にも出て来た人種差別の問題、それを乗り切って黒人アーティストのバッキングをした白人の偉大なるミュージシャンたち。そんな背景も含めて全てがあの1曲の中に歌い込まれているのだ。
 ニール・ヤングの「サザン・マン」へのアンサー・ソングという部分だけが一人歩きしてしまっているが、“ウォーターゲイト事件なんて関係ないさ”という部分は南部人の東部のエスタブリッシュメントに対するハンパツと複雑な思いが込められていたりする。“バーミンガムでは知事を慌てさせた”という一節は、1955年にアラバマ州バーミンガムでローザ・パークスが起こした抗議行動に端を発して南部一帯、ひいては全米へと飛び火した公民権運動のことを指している。何せ、当時の南部はバス、レストラン、トイレなど公共の場所は白人席と黒人席に分けられる人種隔離政策が公然と行われていて、ローザはバスに乗車した際、これに異を唱えて白人に席を譲らなかったために逮捕されたのだった。これに対してマーティン・ルーサー・キング牧師らが抗議行動を始め、黒人がバス乗車ボイコット運動を起こしたために、モンゴメリー市は経済的に大打撃を受ける羽目に陥った。そして裁判で公共交通機関における人種差別禁止を勝ち取ったのだ。
 一方、“ニール・ヤング、忘れないでおいて欲しい、南部人はもう彼を必要としていないのだから”という一節は、人種差別主義者として悪名高いアラバマ州知事ジョージ・ウォレスのことを指している。ちなみにジョージ・ウォレスは、持論の人種分離政策を掲げて63年にアラバマ州知事に当選し、その後も71年~79年までアラバマ州知事を務め、南部の伝統的保守王国の象徴でもあった。勿論、レーナードが「スウィート・ホーム・アラバマ」を書いた時も知事として君臨していたわけで、今更ながら彼らの反骨精神は見事だと思う。
 その映画『黄金のメロディ~マッスル・ショールズ』のオフィシャル・サイトで本作の主人公、Kunio Kishidaがマッスル・ショールズ・スタジオに関してインタビューを受けていたことを思い出す。それもその筈、彼が2002年にリリースしたデビュー・アルバム『南水~Swamp Waters』と、2005年にリリースした2作目の『Alabama Boy』(2011年にボーナス・トラック付きでリマスター・アルバムがリリースされている)は共にマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオでのレコーディング。しかも、マッスル・ショールズでレコーディングした最後の日本人でもある。マジにそれだけでも凄いことだと思う。
 さて、東日本大震災への鎮魂の思いが込められた『Northern Song』(2014)に続く本作だが、勿論いつものようにアメリカン・レコーディングが主体。そしてマッスル・ショールズ絡みの曲も1曲収録されている。で、バック陣は相変わらずKunio Kishidaコネクションならではの凄い顔ぶれが揃った。
 共同プロデューサーのジョニー・サンドリンとは、もう『南水~Swamp Waters』からのコンビ、もうお馴染みの相方だ。一応改めて紹介しておくと、オールマン・ブラザーズ・バンド及びキャプリコーン・レコードのプロデューサーとしても知られ、かつてはデュアンやグレッグと共にオールマンの前身でもある元アワ・グラスのメンバーとして活躍したこともある。
 チャック・リヴェールは言うもでもなくオールマン・ブラザーズ・バンドのキーボーディストとしてあまりにも有名だが、オールマン以降はストーンズのキーボーディストとして知られる。
 今回はハモンドでいい味を出しているポール・ホーンズビィはやはりキャプリコーン・レコード、中でもマーシャル・タッカー・バンドのプロデューサーとして知られ、ジョニーと同じく元アワ・グラスのメンバーでもあった。
 ジェリー・ウォズレイ・ジュニアはもう何度も来日、Kunio Kishidaのライヴには今や欠かせない人物になった感がある。ブレンダ・リーのバッキング・ミュージシャンとして活躍していたこともあるベーシストで、先に触れたアラバマ州バーミンガム在住だとか。元々、Kunio Kishidaにマッスル・ショールズ・レコーディングの話を持ちかけたのは彼だった。
 ジェイミー・オールダッカーはオクラホマ州タルサ出身のオーキー、クラプトン・バンドのドラマーとして知られる。ちなみに、クラプトン、J.J.ケール、ウィリー・ネルソン、トニー・ジョー・ホワイト、ヴィンス・ギル、ボニー・ブラムレット、タジ・マハールらが歌って、ジェイミーが全編でドラムを叩いたリーダー・アルバム『Jamie Oldaker - Mad Dogs & Okies (2005)』は愛聴盤の一つだ。尚、アルバム・タイトルはジョー・コッカーの『Mad Dogs & Englishmen』を捩ったもの。
 バッキング・コーラス陣も豪華だ。スコット・ボイヤーはトミー・タルトンと共に組んでいたカウボーイ、或いはボイヤー&タルトンの片割れ。サザン・ロック・ファンにはもうお馴染みの人だろう。カーラ・ラッセルは、たまたま手持ちのアルバム『Chuck Leavell - What's In That Bag (1998)』、『The Decoys - Shot From The Saddle(2001)』、『Bonnie Bramlett - Beautiful (2008)』、『Jimmy Hall - Rendezvous with the Blues (1996)』などの作品にバック・コーラスとしてもクレジットされている。リリー・メイ・リシュは、ザ・ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトのバンドのフィドラー、シンガーとして知られるが、カントリー・グループ“Jypsi”のリード・ヴォーカルとしても活躍していたこともある。そしてケネス・ブライアンはアラバマ出身のシンガー・ソング・ライターで自らのバンド“The Kenneth Brian Band”を率いて『Welcome to Alabama』(2010)をリリースしている人物。
 というわけで、またしても南部のそうそうたる顔ぶれが揃っている。こんなことが出来るのは日本ではKunio Kishidaだけだろう。本当に素晴らしいことだと思う。

●スライド・エンジェル SLIDE ANGEL
 アルバムに関しては何よりも聴けば判るから、解説など要らないと思うが、個人的な印象だけ書かせて頂こうと思う。オープニングを飾るインストの「BLUE BONNET」は、イントロに持って来た「グリーン・オニオン」的なリフが効果的で面白い。スライドが滑りまくっているが、中でも途中からガーッっとウォーター・スライダーに乗ったような長い滑りが圧巻!そして滑りまくった後に、今度は良く喋る。オールマン的なフレーズも飛び出すのが嬉しい。Kunio Kishida曰く、広大なテキサスを車でブッ飛ばしているイメージだと言うが、『SLIDE AWAY』の時の体験なのだろうか。
 続く「J.O.T.O」はジェイミー・オールダッカーの出身地、タルサをイメージした曲だとか。ディッキー風のスライドも聴ける一方で、低音リズム・リフが印象的。最後はスライドが号泣しているのもイイ!それから“J.O.T.O'S Coming”のリフレインの所がまるで読経?のように聴こえるのがまたえらく気に入っている。
「LIVIN' THE DARKSIDE CITY」はロックン・ロール!という感じのノリがいい!自らのヴォーカルに絡むオブリのスライドがカッコイイ!そして間奏のチャックのピアノがオシャレでしかも味わい深い。このアルバムでのチャックのプレイはこの曲に限らず最高だと思う。南部的、或いはブルースっぽいかと言えば、決してベタではない。例えばボーナス・トラックの「JAM BUSHI CHUCK」、「JAM KUNIO'S BOOGIE」ではチャックのプレイをじっくり堪能出来るが、1920年代以降のピート・ジョンソンやパイントップ・スミス、アルバート・アモンズ辺りに代表されるブギウギ・ピアノからニューオリンズ・ピアノまで、その懐の深さは天下一品。が、それだけではなく、あくまでモダンでジャジー、スタイリッシュというのがチャックらしいところ。「こんなに真剣に取り組んでくれるとは思わなかった」というKunio Kishidaのコメントも聞けたが、そのチャックのやる気を引き出したのはKunio Kishidaに他ならない。それにしてもチャックが入ると、どこかシー・レベル、オールマンで言えば『Win, Lose or Draw』のメロウな味わいに通じるところがあるのが、また個人的には嬉しい。
「LUV BITE」はちょっと官能的なブルースか。それもどこかメロディが演歌ってるところが魅力的だ。ブラシもどこかそんな雰囲気を醸し出す。チャックのジャジー&ブルージーなピアノにハモンドが絡む辺りも何とも言えず、ヴォーカルの替りにギターが歌う。スウィートにすすり泣くような高音スライドがヤバイ!
 ちょっとブリティッシュな感じが漂う所がキャッチーな「SAID」は、左から延々と聴こえるリズム・リフがカッコイイ。例えるならばフリーのような魅力が...。そこにリラックスしたヴォーカルと歌心タップリのスライドが重なる辺りが心地良い。左のギターが小さ目なのは狙いなのか。
 タイトル曲の「SLIDE ANGEL」も左から聴こえるリフがチャーミング、豪快なスライドはデュアンに捧げたものだという。いかにも楽しげで陽気な「SWEET ANN」はエルヴィン・ビショップ辺りが演りそうなタイプ。レコーディングの時に食べ切れないほどのチェリーパイをどっさり作ってくれたというジョニー・サンドリンの奥さんに捧げた曲だそうな。ちょっと物憂げなバラードの「BALLAD OF ROCKEY」は、「SWEET ANN」からの流れで全体の中でも絶妙のアクセントになっているような気がする。
 そしてキラーな出来映えなのが「UNFINISHED」だと思う。初めて聴いた時に、何ていい曲なんだろう?!とやたらと感動してしまったものだ。ブルージーだが、まるで羽毛のようなソフトな感触。とにかく何はともあれ曲が、メロディがイイ!どこかノスタルジックで甘い旋律...。流麗なピアノにハモンドが加わり、ギター・ソロで聴かせるギター・メロがまた徹底して泣かせる。何故か切なくジンと来る。これは本作のというより、いままでの作品のなかでもピカ一の存在だと思う。
 打って変わってのっけからハイ・テンションな入り方でやって来るのが「YOU ARE THE REAL」。ヴォーカルに合いの手を入れるようなオブリのギターが小気味イイし、途中から切り返すようなギター・ソロも...。ワウワウまで飛び出して、ちょっとブリティッシュな所も魅力か。そして「YOU DON'T KNOW HOW I FEEL」のソフトなバラードで泣かせて、曲名からも判る通りアコースティックな鎮魂のインスト「I WA KI」で締めるという見事な構成だと思う。
 無理は承知だが、聴き終わって駆け巡るのは、願わくばこのメンツでのライヴを一回でイイから見て見たいものだという切なる思いか...。

 

           2015年8月

                  Stay High Always!

               (HIDEKI MASUBUCHI/増渕英紀)

 

 

*Kunio played guitars

1) NANCY (1959 LPstd sb),
2) JESSICA (1959 LPstd sb),
3) 1958 LPstd gt,
4) 1958 LPstd red,
5) 1952 LPstd,p-90 gt
6) DUANE (1959 LPjr ch),
7) EC 1958 EX (1958 EX Eric Clapton cut off) ,
8) 1958 EX,
9) 2012 RS GUITAR WORKS ALABAMA BOY,
10) 1963J-45 sb

1 BLUE BONNET
melody:DUANE,
solo :NANCY(slideE), EC 1958 EX
rhythm:DUANE
obbligato:NANCY
2 J.O.T.O   
solo :NANCY(slideN and D),
rhythm:EC 1958 EX
3 LIVIN' THE DARKSIDE CITY
solo :ALABAMA BOY
rhythm:1958 EX
obbligato:ALABAMA BOY
4 LUV BITE
melody:1952 LPstd
rhythm:1958 LPstd red
5 SAID
solo :NANCY(slideN) rhythm:NANCY
6 SLIDE ANGEL
melody,solo:NANCY(slideN) rhythm:NANCY
7 SWEET ANN
solo :JESSICA
rhythm:NANCY obbligato:NANCY(slideN)
8 BALLAD OF ROCKEYS
solo :JESSICA
rhythm:1958 LPstd red
obbligato:JESSICA(slideE)
9 UNFINISHED
solo,rhythm,obbligato:NANCY
10 YOU ARE THE REAL
melody,solo,rhythm,obbligato:NANCY
11 YOU DON'T KNOW HOW I FEEL
solo,rhythm,obbligato:1958 LPstd gt
12 I WA KI melody,rhythm:1963 J-45
BONUS
13 JAM BUSHI CHUCK solo,rhythm:1958 LPstd red
14 JAM KUNIO’S BOOGIE solo,rhythm:1958 LPstd red

[J.O.T.O]

彼が今夜、やってくる
彼女は、ここで待っている
今夜、降臨する彼を
俺らも一緒に待っている
歓ぶ彼女、彼が重荷を取り除くと信じてる
ああ嬉や、今夜は彼が彼女のそばにいてくれる
きっとできる、今夜もできる、と信じる彼女
彼ならできる、今夜もできる、と尊ぶ彼女

J.O.T.Oがやってくる
俺らは今夜も待っている
J.O.T.Oがやってくる
俺らは今夜も待っている
歓ぶ彼女、彼がもやを晴らしてくれると信じてる
ああ嬉や、今夜は彼が彼女のそばにいてくれる
J.O.T.Oが来る、また一緒にできる
J.O.T.Oなら、またできる

J.O.T.Oがやってくる
俺らは今夜も待っている
J.O.T.Oがやってくる
俺らは今夜も待っている
歓ぶ彼女、彼がもやを晴らしてくれると信じてる
ああ嬉や、今夜は彼が彼女のそばにいてくれる
J.O.T.Oが来る、また一緒にできる
J.O.T.Oなら、またできる


[LIVIN' THE DARKSIDE CITY]

日の出とともにみんなが黙る
話をするなら夜中過ぎ
ここに長居は無用だぜ
じきに出なくちゃな
みんながお構いなし、そんなダークサイド・シティ

イカレたヤツらが道を行く
おかしな顔で、にやけたり笑ったり
ここに長居は無用だぜ
俺には意味がない
成り行き任せの街では「ケ・セラ・セラ」

ここに長居は無用だぜ
じきに出なくちゃな
みんながお構いなし、そんなダークサイド・シティ

平和の鳩、それは空への扉を開けた彼女
だからお日さまが降りそそぐ
ここに長居は無用だぜ
一緒に出なくちゃな
みんながお構いなし、そんなダークサイド・シティから


[SAID]

大きな青空、1羽の鳥がさえずる
太陽に照らされて、今日は平和だと思ってた
何も心配いらないと言ってたよね
そのままどんどん成長しろと
何も心配いらないと言ってたよね
そのままどんどん大きくなれと

ドライヴさせてくれたよね、街をぐるりとさ
人々は微笑み、幸せで元気そう
何も心配いらないと言ってたよね
そのままどんどん成長しろと
何も心配いらないと言ってたよね
そのままどんどん繰り返せと
どうなのかな


[SWEET ANN]

マッスルショールズに行くんだぜ、ロックンロールをやってやる
最高のメンツを揃えたぜ、このチームでトライする
ジョニーにピートにチャックにジミー、ポールにミッキーにサムライサム
ボニーにカーラにエドにジェイミー、スコットにボビーにジェレミーも

そしてステキなステキなアン、南部美人とはこのことさ
ステキなステキなアン、生粋のアラバマレディだ
とてもチャーミングで、いつも気品が漂っている
長い髪を輝かせ、いつも優しくしてくれる
みんなが慕うステキなステキなアン

毎日キッチンで作ってくれた料理は天の味
食べ過ぎてもう入らなかったけど、あのチェリーパイは絶品だった
彼女の手にかかったら敵わない、あまりに美味い理由はこうだ
頭を捻って、オーブンに入れて、そして何より愛をそそぎ込むから

ステキなステキなアン、南部美人とはこのことさ
ステキなステキなアン、生粋のアラバマレディだ
とてもチャーミングで、いつも気品が漂っている
長い髪を輝かせ、いつも優しくしてくれる
みんなが慕うステキなステキなアン

とてもチャーミングで、いつも気品が漂っている
長い髪を輝かせ、いつも優しくしてくれる
みんなが慕うステキなステキなアン


[BALLAD OF ROCKEY]

俺の話はしたくはないんだ
お前も聞かないね、ただ微笑むだけだ
お前の話もしたくないんだな
俺も知らなくていいんだ、なぜかって?
そんなの関係ないからさ、言葉は要らないんだ
古い友達同士だもんな

お前のふるさとで会うたびに
いつも笑ってくれるよな
俺がギターを弾けば目を閉じるお前
それでも見えてるんだろ “俺の心”が
でもそんなの関係ないさ、言葉は要らないんだ
古い友達同士だもんな

言わせてくれよ、“ありがとう”を
心からの礼だ
言いたくないんだ、“さよなら”は
お前は親友だからな

関係ないんだ
言葉は要らないさ
古い友達同士だもんな

言わせてくれよ、“ありがとう”を
楽しかったよな
言いたくないんだ、こんなに早い“さよなら”は
お前は親友だからな
言わせてくれよ、“ありがとう”と
楽しかったよな
言いたくないんだよ、こんなに早い“さよなら”は
お前は親友だからな
ずっと親友だもんな


[UNFINISHED]

「曲を笑ってごめんあそばせ」と彼女は言った
続けられずに俺は弾く手をとめた
いやな気持ち、悲しい気持ちだ
仕事の話は無しと見た

埋め合わせをと奔走したわ
別の仕事だって世話したじゃないの
共に過ごした時間は素晴らしかったわ
でもあなたは消えた、心を奪ったまま
もうどうしたらいいのかわからない

またあの曲を弾いてくれたのに泣いてしまったわ
それであなたも弾く手をとめたのね
曲の途中で楽譜を裂いたあなた
もとはといえば私が笑ったから

またあの曲を弾いてくれたのに泣いてしまったわ
それであなたも弾く手をとめた
曲の途中で楽譜を裂いたあなた
もとはといえば私が笑ったからね


[YOU ARE THE REAL]

また転がりだすぜ
道を見つけるさ
ギターを弾く手の
決意は固いぜ
落ち込む俺を
誰も救えはしなかった
でもお前は本物
俺の愛しい人だから
お前とならまた立ち上がれる
もう一度トライしろと言ってくれれば
お前とならまた立ち上がれる
ワン・モア・トライ

落ち込む俺を
誰も救えはしなかった
でもお前こそは本物
俺の理想の女だから
お前とならまた立ち上がれる
また立ち上がれるんだ


[YOU DON'T KNOW HOW I FEEL]

都合よく私を想うあなた
彼女が去った時に限ってそうなのね
なれなれしく名前を呼ばないでよ
彼女が去った時に限ってね
夜毎に枕に横たわる時の
私の気持ちなどわかりゃしないわ
都合よく想いを寄せないでよ
彼女が去ったからといってね

本当にあなたって自分勝手なのね
何か企んでるでしょ
まったくいつもムチャクチャなのね
否定はできないでしょ
私の気持ちなどわかりゃしないわ
あなたの気が変わってもそれは同じ
私の気持ちなどわかりゃしないのよ
彼女が去った時にはね

都合よく私を想うあなた
彼女が去った時に限ってそうなのね
私の名を唱えたって無駄よ
だって彼女が去った時ばかりじゃない
夜毎に枕に横たわる時の
私の気持ちなどわかりゃしないわ
都合よく想いを寄せないでよ
彼女が去ってしまったからといってね



1)SLIDE ANGELの制作に関して。
 2014年2月にチャックリーベルへメールを送ったことから始まりました。3月5日レコーディングが決まり、それまでに9曲、のちに3曲作曲しました。
 3月5日さっそく、チャックとスタジオ入り。彼は、今までにまして素晴らしい演奏をしてくれました。
 5月にジェイミーオールダッカーとジェリーワスレイはアラバマのジョニーサンドリンンのスタジオでレコーディング。
 7月、私の仮歌と仮ギターを差し替える。
 8月、メイコンのスタジオでチャックとポールホーンズビーが残りの曲にピアノとオルガンをオーバーダブ。
 9月、ジョニーのスタジオでコーラスを入れて終了。
 10月~2015年12月にかけてジョニーがミキシング。
 3月にナッシュビルのジョージタウンでマスタリング終了。
 4月ジョニーのリクエストにより、2曲を再度マスタリングし完成。
 6月30日アメリカで発売。
 9月23日日本で発売。
All songs written by KUNIO KISHIDA
Produced by JOHNNY SANDLIN & KUNIO KISHIDA
MUSICIANS
KUNIO KISHIDA: Vocal, Guitar, Slide,
JERRY WASLEY JR.: Bass, Chorus
CHUCK LEAVELL: Piano, Organ
PAUL HORNSBY: Organ(2,3,5,7,11,12)
JAMIE OLDAKER: Drum, Percussion
JOHNNY SANDLIN: Shaker(J.O.T.O, SWEET ANN)
SCOTT BOYER, CARLA RUSSELL, KENNETH BRIAN, LILLIE MAE RISCHE:Chorus


2)各曲の内容
1 BLUE BONNET 4:12
 広大なテキサスをブッ飛ばしているイメージです。ブルー・ボネットとは、テキサスの州花。
 最初のメロディは、デュアンオールマン元所有レスポールジュニア、オブリのスライドは私のナンシー(LPstd1959)、途中のイナタイ音のソロはクラプトンが初来日に使った1958年製エクスプローラ(アメリカから借りてきました)です。デュアンとクラプトンのギターがレイラ以来の共演。

2 J.O.T.O 4:51
 タルサをイメージした曲。タルサ出身のジェイミーオールダッカーを歌った内容です。JOTOとは、ジェイミーオールダッカー、タルサ、オクラハマの略です。

3 LIVIN' THE DARKSIDE CITY 4:08
 夢のない魑魅魍魎の街で、暮らすのを止めて出ていこうという歌です。

4 LUV BITE 5:41
 タイトル通り、甘噛みです。 じゃれ合う恋人をスライドで表現。チャックに受けていました。

5 SAID 5:24
 表面では安全な生活ができると言っているが、果たして本当でなのか?という歌です。

6 SLIDE ANGEL 3:50
 デュアンオールマンに捧げる曲。彼は、まさしくスライドエンジェル。

7 SWEET ANN 5:03
ジョニーサンドリンの奥さんに捧げた曲。2階のマッスルショールズレコーディングの時に食事を作ってくれたアンさんを歌った。 2番は、みんなお腹いっぱいで彼女が作ったチェリーパイを食べなかったら、彼女はいきなり怒り出し、スコット、ジェリーみんな慌てて食べた話です。 本人はとても喜んでいました。

8 BALLAD OF ROCKEY 4:36
 2年前に癌で亡くなった仙台の友人ロッキー(愛称)に捧げたバラード。

9 UNFINISHED 8:15
 再び、チャックと共演できることになったので、故小山英樹はじめキーボーディストに捧げた曲。1930年代に封切られた映画“シューベルト物語”を題材に作曲。二人のバトルというよりは共同作業の長尺な曲。このアルバムのハイライトでもある。

10 YOU ARE THE REAL 3:55  
 お前がいてくれるから、また立ち上がってギターを弾けるという曲。
 クリーム等1960‘sのブルースロックを意識した曲。初めてワウワウペダルを後半に使用。

11 YOU DON'T KNOW HOW I FEEL4:19
 彼女と別れた時だけ、私に電話をしてくる嫌な奴。でも、ボロボロにされることはわかっていても付き合ってしまう。 悲しい性の女性を歌った曲。

12 I WA KI 2:30
 昨年4月、福島県いわき市を訪れた時に、作曲した鎮魂歌。

bonus
13 JAM BUSHI CHUCK 6:20
 チャックが真剣にキーボードに向かう姿勢は武士のようだった。それでつけたタイトル。チャックはとても喜んでいた。
14 JAM KUNIO'S BOOGIE 4:29
 いつもライブで演奏しているブギーのタイトルをつけた。

1) 1959 LPstd sb(NANCY),
2) 1959 LPstd sb(JESSICA),
3) 1958 LPstd gt,
4) 1958 LPstd red,
5)1952 LPstd,p-90 gt
6) 1959 LPjr ch(DUANE),
7)1958 EX (Eric Clapton cut off) ,
8)1958 EX,
9) 2012 RS GUITAR WORKS ALABAMA BOY,
10) 1963J-45 sb

1 BLUE BONNET
melody:DUANE,
solo :NANCY(slideE),EC1958EX
rhythm:DUANE
obbligato:NANCY
2 J.O.T.O   
solo :NANCY(slideN and D),
rhythm: EC1958EX
3 LIVIN' THE DARKSIDE CITY
solo :ALABAMA BOY
rhythm:1958EX
obbligato:ALABAMA BOY
4 LUV BITE
melody:1952LPstd
rhythm:1958LPstd red
5 SAID
solo :NANCY(slideN) rhythm:NANCY
6 SLIDE ANGEL
melody,solo:NANCY(slideN) rhythm: NANCY
7 SWEET ANN
solo :JESSICA
rhythm:NANCY obbligato:NANCY(slideN)
8 BALLAD OF ROCKEYS
solo :JESSICA
rhythm:1958LPstd red
obbligato:JESSICA(slideE)
9 UNFINISHED
solo,rhythm,obbligato:NANCY
10 YOU ARE THE REAL
melody,solo,rhythm,obbligato:NANCY
11 YOU DON'T KNOW HOW I FEEL
solo,rhythm,obbligato:1958LPstd gt
12 I WA KI melody,rhythm:1963J-45

BONUS
13 JAM BUSHI CHUCK solo,rhythm:1958LPstd red
14 JAM KUNIO’S BOOGIE solo,rhythm:1958LPstd red

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